APARTMENT STORE RETRO FURNITURE & CAFE & RENOVATION WORK

2017.11.29

 

前回の「ヒントの瞬間」から生まれた、アパートメントの次のコンセプト。

このコンセプトの軸が決まったとたん、「新しいプロジェクト」が浮かび上がってきた!

今までの14年で培ってきた色々な「考え方」や「技術」「人脈」、「家具」「カフェ」「リノベーション」など、それぞれの「点」が繋がり、そして「線」となり、今回の「ヒントの瞬間」で、「面」になった感じがした。

 

このプロジェクトは、今までやってきたことがすべてが詰まっている気がする。

決定的に違うのは「教える」ということと「社会性」が加わること。

 

 

 

今までの自分は、どちらかと言うと「自分中心」に表現し続けてきた。

「自分が良いと思うものを、ひたすら追い求め、それをどうすれば、形にできるか?」

 

25歳で独立し、決定的に経験値が少ない自分。

さらに独学というコンプレックス。

何者でもない自分を、「自分という人間 の確立」をしないといけなかった。

それは、周りの人に対してもだが、どちらかというと自分に対してだ。

ようは、自分と言う人間に自信をもつ必要があった。

だからこそ、やっきになって自分に問いつめ「自分らしさ」をデザインやお店で表現し続けた。

 

ある意味、次のプロジェクトへ前進できた理由は、「自分への自信」が少しだけ持てた証なのかもしれない。

 

 

 

 

本題のプロジェクトの話をする前に、このコンセプトに礎になった自分の経験の話をしたいと思う。

自分の人生の中で、進路の選択をするにあたって鍵となった「出会いや気付き」がある。

少し、生い立ちも含めて話したいと思う。

 

 

 

子供の頃、父親が木型の仕事をしていたこともあり、小さい頃から木でよくモノを作っていた。

小学生のころ、自分の部屋に憧れ、高校卒業までに、実家内で移動した部屋の数は4部屋。

思いたったように、急に間取りを変えることが多く、効率よく進める為に、1/100のサイズの 平面図を作り、同じく1/100の家具のパーツも作り、移動前に、入念なシュミレーションを するなど よくしていた。

高校は、県西部 唯一のインテリア科のある天竜林業高校へ。

授業では、家具を作ったり、建築を勉強したり、図面を描いたり。

実用的な授業はとてもよかった。

卒業後は、一から家具を作りたく、神奈川県の「秋山木工」へ丁稚修行へ。

やはり、想い描いた社会人生活とは違い、木屑まみれの毎日。

「このままで良いのか?」と自問し、もっとオシャレな生き方がしたいと、アパレルショップへ 勤め出す。

そのとき、木工所の寮生活から一人暮らしするための費用を稼ぐ為に、3ヶ月短期アルバイトで働いた 長野菅平のホテル。

このホテルとの出会いが、今後の人生を左右した最初の場所。(20歳)

ここでは、オーナー自らユンボに乗り、ホテルの工事を自分たちでやる。

レストランを拡張する時は、バイトも一緒になって、解体したり、作ったり、塗装したり。

合掌作りの大きなホールを作るときには、秋山郷まで合掌作りの家を解体しにいって、実際にチェーンソーを使って 加工したりと、色々経験させてもらった。

ここで学んだことは、「家や店舗も 自分で改装や建てたりできるんだ!」ということ。

 

 

 

 【礎のポイント】 「未経験」と「1度経験」の大きな差 

壁を壊すという行為は、素人の人にはとても抵抗のある行為で、想像すらできない。  

なぜか?と考えると、それは壁の中がどうなっているのか分からない。  

そして、壊したら元に戻せるのか?分からない。  

ようは、「分からない」から抵抗が生まれ、想像すらできない。

だけど、1度解体を経験したり、壁作る工程を理解すると、技術的には未熟でも、 「やってやれないことはないだろう」と思えるようになる。

壁を壊すということの想像や想定ができ、選択肢が生まれる。  

経験が「0→1」になることは、人生の中でとても重要な体験だと思う。  

「1→2」「2→3」と進めることも大切だが、 沢山の「0→1」を持っていることで、人生の転機にさしかかった時、経験値からの想像で、人生の幅を大きくする 対応力に繋がる気がする。

 

 

 

 

 

 

そして24歳のとき、人生で2回目の重要な出会いをする。

「D&DEPERTMENT」というお店だ。

 



 

【礎のポイント】 デザインによる 新しい価値の生み出し方

 このお店は、家具、雑貨、カフェのお店。

「物販+飲食」の複合店舗という、当時では珍しい業態だった。(2002)

でも、衝撃的だったのは、そこではなく、扱っている家具と雑貨。

一般的に流通している新品の家具雑貨ではなく、 自分たちの実家にありそうな昭和40.50年代の中古品。

骨董とかではないので、どちらかと言うと、不要な人には捨てられてしまうもの。

僕より上の年代の方には、実際に使っていたものだろう。

そんな家具や雑貨が、白く塗られたシンプルな空間に、キレイに並べられている。

そして、懐かしさももちろんあるが、そのたたずまいは、どこか新しい価値を感じた。

それは、新しく作り直したとか、塗り直したとかではなく、 デザインの力を使って、ただ「価値の目線」を変えただけ。

その空間に、選ばれて並ぶだけで「新しい価値」が付くのだ。

「必要ない人から、必要な人への橋渡し」に、とてつもない魅力を感じた。

 

 

 

 

 

この店との出会いの2日後、興奮冷めやらぬ中、長野に帰ると早速、履歴書を書いて送った。

1度も会って話もしていないのに、書類審査で落とされるのは、納得いかないので、絶対面接してほしいと 書いて。

熱量がスゴ過ぎて、この感動を書いた便せん4枚も同封した記憶がある。

希望通り、実際に面接を受けさせてもらった。

結論から言うと「採用連絡」を頂いた。

しかし、諸事情で採用の連絡をもらう間、半年の期間があった。

半年の間に、またお店に伺って、色々お話を聞きに行ったりした。

希望する部署を伝えると「あなたの関わりたい業務になるまでは、10年くらいは勤めないと。」 と言われた。 

最初は、販売員やカフェの店員から。当たり前だ…

もちろん理解はしていたが、実際に10年と言われ考えると、いつかは独立したいと考えていた ので、そうすると、早くても独立は34歳…..

悩みに 悩んで悩んで考えた結果、「地元浜松で自分でやろう」となる。

 

 

 

 

 

 浜松に戻ってきて最初にはじめたことは、 物件を探すこと。

 最初の頃の物件の探し方は、市内の不動産を巡ったり、インターネットで情報を仕入れたり。

(インターネットは、今程普及していないので、少しだけしか情報が無かった)

実際に、不動産から紹介されるのは「キレイにリフォーム」された物件ばかり。

 

 

 

【礎のポイント】 低評価にこそ隠れているチャンスと表現の大切さ

自分の理想的な物件は、リフォームされてなくて、少し見捨てられた感じのレトロな建物。

なぜかというと、見捨てられているからこそ、価値がなく、賃料も安い。

そして、改装も自由な場合が多い。

 

だが、そんな物件は、集客率が低い地域にあることが多く、商売向きではない立地が多い。

そんなときに、思い出した言葉。

D&DEPERTMENTのナガオカケンメイさんにお会いした時に質問した内容。

D&DEPERTMENTの店舗自体も(東京大阪の2店舗(当時))、人通りが多い地域ではなかった。 なぜ?という質問。

返ってきた答えは「そこに自分たちの表現したいことが、表現できる建物があったから」。

「そして、しっかりとその表現ができ、伝えることができれば、人はわざわざ来てくれる」。

 

 

 

そして、探し続けて3ヶ月。ようやく見つかった店舗物件。 

だが、やはり立地が少し良くない。

メイン通りより1本中に入った所なので、地元の人でないと通らない通り。

そして、お店専用の駐車場がなく、1〜2分歩いた場所に共同駐車場。

 

しかし、元郵便局で奥に蔵が併設している。面白い物件!

店舗内は数年使っていなかったので、少し傷んではいたが、改装自由!

立地よりも、建物重視でこの物件に決断!

この古びた建物が、新しいデザインで改装することで、新しい価値が付く瞬間が面白い!

 

 


 

 

 

 

 

 

 

〈オープン直後の店内〉

 

 

 

 

 

〈オープンから5年後〉

 


 

 

 

 

 

【リノベーション業務への展開】

レトロ家具雑貨の販売の主軸は、インターネット販売と実店舗の販売。

首都圏への販売がメインになるかと思いきや、実際は、実店舗での販売の方が売上げは良かった。

実際に見て触って座れる方が、家具は売れやすいのだと思う。(県外はさらに送料がかかるので)

だが、ここで少し気になることが。

それは地元の納品先が、実家や賃貸アパートの場合が多いこと。

店舗で素敵にレイアウトされて、少し魔法のかかった家具雑貨が、 納品後、もともと実家にあったんじゃないか?と思ってしまう、見え方になってしまうこと。

照明だったり、他の家具との相性だったり。

お客様本人は、気に入ってくれているので嬉しいのだが、少し気になっていた。

 

そして、たどり着く解決策。

それは、空間も一緒に提案すること。

空間が変わることによって、家具の見え方が大きく変わる。

そして、また家具を買いたくなる。

 

そんなときに頂いたお話が、カフェの改装依頼。

アパートメントの改装アルバムを、お店で見れるようにしてあったのだが、そのアルバムを 見てくれたお客さまからの依頼。

それがはじめての店舗リノベーションの仕事。

自分で作業する術しかなかったので、オーナーさんと2人でコツコツ改装。

それ以降、ゆっくりだが、リノベーション依頼が増え、そして規模も大きく。

自作の改装ではもう出来ず、工務店さんと共に改装をしていく手法に。

 

 

【礎のポイント】  直接見ることで得られる知識や技術

それからは、デザインを管理する立場に。

現場に通う中、自分では出来なかった作業を 直接に見ることができ、自分の技術や知識、道具の幅も広がる結果に。

ここでたくさんの「0→1」をたくさん吸収。

そして、2009年に現在の店舗(頭陀寺)「RC造3階建ミニビル」を購入。(30歳)

延べ8ヶ月の期間、夫婦2人で改装作業し「カフェ」「家具雑貨店」「住居」を完成させる。

今まで覚えた知識や技術、デザインを集結させた店舗に!(2009)

 

 

 

こちらも長編物語。

購入するときの話から、実際の改装、そして完成するまでの記録!

Apartment Store 頭陀寺

Cafe Lobby

Hinaiji House

 

 

 

 

 

 

 

 

【次のステージへ。そしてなぜ今なのか?】

 

昭和レトロの家具雑貨を販売するお店としてスタートしたアパートメントストア。

2017の年末で14周年を迎える。

14年前は、カフェや雑貨店も数える程しか無く、アンティークのお店は、骨董以外では ほとんどなかった。

しかし現在、沢山のカフェができ、家具雑貨屋も増え、インテリアデザインも多様化。

インターネット販売やネットオークションも乱立。

大型ショッピングモールも増え、小規模店の小売業は、さらに厳しい状況にある。

 

アパートメントストアの主力である「昭和レトロ」。

大手企業が「エイジング家具雑貨」を商品化しはじめたことで、

「捨てられるモノの視点を変えさせて、新しい価値をつくる。」というコンセプトは、

今になると、対象だった「昭和レトロ」が、生産品になってしまい、新しい価値どころか、 流通品の「よく見かけるモノ」に変わってしまった。

 

単純な製造販売な経済成長は、頭打ちな感じがする。

これだけたくさん物に溢れた時代。

これからは、「物より体験」「所有より経験」「生きる意味」「人のつながり」を求める時代になっていくと思う。

 

 

 

 

次回「動き出す」。

お楽しみに!